もちつきにっき

名刺に書いてる以外のこと。

キウイフルーツ味

小雨の夜の町をマックシェイクキウイフルーツ味を飲みながら歩く。私はバニラを買おうと思ったのに。期間限定の魔法にかけられて店を出る私の右手には薄緑色のそれが握られていた。


「少し前の私には、今こうしていることなんて想像できませんでした」
うっすら涙を浮かべながら表彰台に立つ友人を4回くらい手を叩いて祝福した。スーツのズボンがずり落ちそうだ。買った当時、つまり3年前の私より確実に太ったという事実を容赦なく突きつけてくるのでずっと無視していたらヒステリックな女が別れの言葉を口にしてアパートから出ていくように今朝ホックが吹っ飛んでいった。というわけで私はホックのないスーツのズボンに神経の8割を集中させていた。早く帰りたい。


今日で一ヶ月。会って二回目で連絡先交換までこぎつき、それからなんとなく付き合い始めた後輩。「一ヶ月だね」とだけ送ってくるのがかわいい。よかった、かわいいと思えている自分に安心する。紙コップを左手に移動させて返信を打つ。「だねー♥」
この子と付き合うことを、二ヶ月前の私だって全く想像していなかった。そのときはまだ友達の彼氏だった。
店員に勧められたキウイフルーツ味シェイクを一口すする。あ、おいしい。作り物の味がしてなんだか安心感がある。駄菓子に似てるのかな、たまに飲むなら悪くない。
言うなれば今夜キウイフルーツ味のシェイクを飲むことだって想像していなかった。でもそんなこと、特筆すべきことでもない。

喉が乾いたら金を払って何かで潤す。
その何かは想像できないだけで。それだけだ。

飲み続けていたら甘ったるさが胃に重くのしかかってきた。なんでだろう、一口目は結構おいしかったんだけどな。ぼーっとしていたら無性に悲しくなって、飲み終わらないうちに近くにあったゴミ箱に捨てた。